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福井ひかり法律事務所の弁護士によるコラムです。

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最近の和製英語

2022年01月05日
みなさん、こんにちは。弁護士の三好大介です。
 
私事で恐縮ですが、私はかつて、オーストラリアに駐在員として勤務していた時期がありました。その際、私が一番苦労したのが、英語でした。
 私のそもそもの英語力が及ばなかったということもさることながら、英語だと思っていたのに実は英語ではなかったとか、英語圏では一般的に通じない用語だったといった経験、つまり「和製英語」だと知らずにそれを使って相手に伝わらなかったという経験をしたことが何回かあります。
 
 有名なところでは、野球の「ナイター」(よく使われる英語ではnight game)、「オーダーメイド」(よく使われる英語ではcustom-made, tailor-madeなど)、「ホームページ」(よく使われる英語ではwebsiteであり、英語のhomepageはウェブサイトにアクセスしたときに最初に表示されるページを指します。)といった言葉が和製英語であり、英語圏では使われていないということは中学・高校の英語の授業で習って知っていたのですが、最近使われるようになった言葉で、当然英語だろうと思っていた単語が、実は和製英語だったという経験があり、意外だなと思ったことがあります。
 
例えば、家庭内暴力を表す「DV」という単語は、日本ではドメスティック・バイオレンスの略語として使われていますが、英語圏ではあまり使われていません。英語圏では、家庭内暴力を表す言葉は、domestic violenceという単語が、省略しない形でそのまま使われることが多いものです。
その他、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略語として日本でよく使われる「SNS」という単語についても、英語圏ではほぼ使用されていません。英語圏では、social network又はsocial mediaという単語が使われることが多く、SNSという単語は、略語としてもあまり使われていません。
 
 私は、英語圏で使われている英語が「正しい英語」であり、それ以外はすべて間違った英語であるとは思いません。英語は国際語であるがゆえに、英語圏以外の国でも使用され、それぞれ独特の単語が発明されたりしています。それらは、言葉の豊かさをはぐくむ素晴らしいものだと思っています。
かつて、明治時代の日本で「銀行」「共和国」「哲学」といった「和製漢語」が発明され、漢字の本場中国に逆輸入され、そのままの意味で使用されるようになったように、いつの日か和製英語が英語圏に上陸し、英語圏でも使用されるようになれば良いなと思います。