コラム

福井ひかり法律事務所の弁護士によるコラムです。

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いじめ防止授業を行ってきました

令和3年度,福井弁護士会は,福井県教育委員会からの打診を受けて,福井県内19の小中学校でいじめ防止授業を行うことになりました。福井弁護士会として初めての試みであり福井弁護士会の子どもの権利委員会と法教育委員会のメンバーで10名のプロジェクトチームを作り,私は副座長を務めています。
 
この度,9月24日に,永平寺町の上志比中学校にて,福井弁護士会による第1回目のいじめ防止授業を行うこととなり,私と座長の西村和浩弁護士の2名で授業を行ってきました。
 
私が生徒の皆さんにお伝えしたことは,
・いじめは,人権侵害であり,許されないこと
・「人権」とは,全ての人がその人として尊重されること,個性が尊重されること
・一人ひとりが他者の人権や個性に配慮することができれば,みんなが幸せに生きていける素晴らしい社会になること
・いじめは,なくすことができること
・傍観者や聴衆もいじめの当事者であること
・傍観者が何もしないことは,いじめに対して「小さなYES」を送ってしまっていること
・傍観者が「小さなYES」ではなく「小さなNO」を出すことができれば,いじめをなくすことができること
です。
 
私たち弁護士は,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としています。
また,私を含めて法教育に携わる弁護士は,人権,幸福,公正,社会正義といった法の基本的価値と理性的な議論の手法を身に着け,立憲主義と民主主義を擁護し発展させる担い手である「市民」を育成することを目指して活動しています。立憲主義と民主主義の中で,基本的人権が擁護され,社会正義が実現され,全員が幸せになれると考えています。
 
そうしたことから,この授業を実施するに当たっては,「いじめがなくなってほしい」「一人ひとりが幸せになってほしい」という願いとともに,将来の社会を担う生徒さんたちに「立憲主義と民主主義を擁護し発展させる市民としての素養も身に着けてほしい」「人権,幸福,公正,社会正義といった法の基本的価値に触れてほしい」という強い願いがありました。
 
私の講演に続いて,生徒の皆さんにグループワークをしていただきました。架空の事例を用いて,どの立場の人がどのような行動をすればいじめをなくすことができるかを議論してもらい,発表してもらいました。
 
生徒さんはみんな真剣に議論してくれ,素晴らしい意見を次々発表してくれました。
生徒さんたちが真剣に取り組む姿勢や素晴らしい発表に触れて,本当にうれしい気持ちになり,私たち弁護士にとっても大変学びのある,充実した授業となりました。
 
この日の授業については,NHK福井放送局さん,FBCさんが当日の夕方のニュースで報道してくださり,また,福井新聞さん,日刊県民福井さん,読売新聞さんが翌日の朝刊で報道してくださり,SNSなどでも大きな反響をいただきました。
 
この授業は福井県教育委員会からのオファーということもあり,今年は公立小中学校のみで実施します。
今後は,今回の報道を通じて,私立の学校さんからもオファーをいただけるようになるとありがたいですし,将来的には,福井県内の全ての小中学生のみなさんが一度は福井弁護士会によるいじめ防止授業を受けられるようにしていきたいと思っています。